2003年8月 アメリカ合衆国
アメリカ合衆国が新たな臨界前核実験を来年に実施するとの報道に接し、次のとおり抗議文を送付しました。
抗 議 文
2003年8月25日
在本邦アメリカ合衆国大使館
特命全権大使
ハワード.H.ベーカー 閣下
日本非核宣言自治体協議会会長
長崎市長 伊藤 一長
この度、貴国が新たに縦坑を使った臨界前核実験を来年実施するとの報道に接しました。
貴国が、核兵器廃絶を願う私たちの抗議を無視して臨界前核実験を繰り返すことに対して、日本非核宣言自治体協議会の326自治体とその住民を代表して、厳重に抗議するものです。
現在、インド・パキスタンの核実験に続く北朝鮮の核兵器保有発言は、国際社会が努力してきた核不拡散体制を崩壊の危機に陥れています。核保有国が、2000年のNPT(核不拡散条約)再検討会議において行った「核兵器廃絶の明確な約束」を実行に移すことなく、核兵器の保有に固執し続ければ、非核保有国に核保有の口実を与えかねません。
臨界前核実験は貴国も署名しているCTBT(包括的核実験禁止条約)の精神に反する行為と言わざるを得ません。すでに100カ国を超える国々がCTBTを批准しており、貴国の行為は決して国際社会の理解を得られるものではありません。
去る8月8日には、日本の非核宣言自治体の代表者が被爆地長崎に集い、協議会設立20周年記念全国大会において、核兵器の廃絶と恒久平和の実現を決議したばかりです。
このような中、貴国が新たな臨界前核実験を実施しようとする姿勢は、他の核保有国の実験を誘発し、ひいては際限のない核軍拡競争の再来を招くのではないかと危惧しています。
貴国が世界の大国として、臨界前核実験を含むあらゆる核実験を中止し、核兵器廃絶の先導的役割を果たされるよう強く要請します。
ここに、今回の臨界前核実験実施計画に対する抗議文を送付いたしますので、本国へ伝達されるようお願いいたします。