2001年12月 アメリカ合衆国
12月12日(現地時間)に臨界前核実験を予定しているとの報道に対し、12月11日に中止を要請した。また、現地時間13日午後4時(当初予定から1日延期)臨界前核実験実施の報道を受けて、12月14日(日本時間)に抗議文を送付した。
抗 議 文
2001年12月11日
在本邦アメリカ合衆国大使館
特命全権大使
ハワード.H.ベーカー 閣下
日本非核宣言自治体協議会会長
長崎市長 伊藤 一長
この度、貴国が12月12日(現地時間)にネバダ州の核実験場において臨界前核実験を実施する予定との報道に接しました。これに対し、日本非核宣言自治体協議会の314の自治体とその住民を代表して、実験の中止を強く求めます。私たち非核宣言自治体は、核兵器は住民の生活と安全を脅かす究極の兵器であるとの認識に立ち、核兵器の廃絶を求めるものです。
貴国における同時多発テロは、4000人もの尊い命を奪いましたが、それに対する報復攻撃によりこの瞬間にも罪の無い多くの市民の命が奪われています。この戦争において核兵器の使用も検討されたとの報道は世界の人々に大きな不安を与えました。また、パレスチナにおけるテロと報復攻撃も激しさを増しています。
このような時期に、核兵器の維持、開発につながる核実験を継続することは、核兵器の使用に対する危惧をさらに増大させるものであり、憂慮に耐えません。
また、11月11日~13日にニューヨークにおいて開催されたCTBT(包括的核実験禁止条約)発効促進会議に貴国が欠席したことは、国際社会による核実験の禁止を求める切なる願いを裏切る行為だと言わざるを得ません。
貴国は早期にCTBTを批准するとともに、大国として核兵器廃絶に向け主導的役割を果たすよう重ねて要請いたします。
ここに、日本非核宣言自治体協議会の名において、今回の臨界前核実験計画の中止を強く求めますので、本国へ伝達されるようお願いいたします。
抗 議 文
2001年12月14日
在本邦アメリカ合衆国大使館
特命全権大使
ハワード.H.ベーカー 閣下
日本非核宣言自治体協議会会長
長崎市長 伊藤 一長
この度、貴国が12月13日(現地時間)にネバダの核実験場において臨界前核実験を実施したとの報道に接しました。
CTBT(包括的核実験禁止条約)の精神に反するこの度の臨界前核実験に対して、日本非核宣言自治体協議会の314の自治体とその住民を代表して、厳重に抗議するものです。
核兵器は圧倒的な破壊力を持つ無差別大量殺戮兵器であり、罪もない多くの市民を死に至らしめるばかりでなく、長年にわたり放射線被爆による後障害で苦しめつづけることを56年にわたる広島、長崎の体験が物語っています。
ICJ(国際司法裁判所)の勧告にもあるように「核兵器の威嚇と使用は国際法に反する」ものであり、核兵器の維持管理のみならず新たな核兵器開発さえ可能といわれている臨界前核実験の強行は大変遺憾であります。
貴国での同時多発テロとアフガニスタンへの攻撃、さらにはパレスチナにおけるテロとそれに対するイスラエル軍の報復攻撃の激化と、多くの罪のない市民の命が失われ、また傷つきました。国際情勢が非常に不安定になっているこのような時期に臨界前核実験を貴国が実施したことは、いたずらに世界の人びとの核兵器使用への不安を煽るものであります。
貴国が世界の大国として、武力によらない紛争解決に努力を払われることと、さらには今後、臨界前核実験を含むあらゆる核実験を中止し、核兵器廃絶の先導的役割を果されるよう願ってやみません。
ここに、今回の臨界前核実験に対する抗議文を送付いたしますので、本国へ伝達されるようお願いいたします。