日本非核宣言自治体協議会 National Council of Japan Nuclear Free Local Authorities

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第38回(令和3年度)

日本非核宣言自治体協議会 第38回総会決議

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症は、いまだ収束の目途が立たず、多くの方々の生命と安全を脅かす状況が続いている。
 新型コロナウイルスで犠牲になられた方々に深く追悼に意を表するとともに、この未曽有のパンデミックの一刻も早い収束に向け、国際社会が協調し、一丸となって取り組むことを祈念する。
 このような状況の中、核兵器廃絶と世界恒久平和を求める市民社会の長年に渡る努力が結実し、今年1月、核兵器禁止条約が発効した。これにより、核兵器のない世界に向けた重要な一里塚に達したものと考える。
 しかし、条約が発効してもなお、地球上には1万3,000発を超える核弾頭が存在し、さらには英国の核弾頭数の引上げや、北朝鮮の核開発やミサイル発射が報じられるなど、核兵器を巡る国際情勢は予断を許さぬ状況にある。
 核兵器を全面的に禁止した、この条約の実効性を今後、さらに高めていくためには、核保有国や「核の傘」の下にいる国々が条約に参加し、効果的な運用と発展に向けた議論を進めることが重要である。
 とりわけ、唯一の戦争被爆国である日本政府には、核兵器のない世界を求める市民社会の声に真摯に耳を傾け、核兵器禁止条約に署名・批准することともに、すぐに署名・批准できない場合は、来年1月に開催が予定されている締約国会議にオブザーバーとして参加し、核兵器廃絶に向けた議論に積極的に加わることを強く求める。
 日本非核宣言自治体協議会は、核兵器に頼らない安全保障の枠組みとして、かねてより「北東アジア非核兵器地帯」構想を提案してきた。この構想は、日本と朝鮮半島を含む北東アジア地域を、核兵器の製造、実験、取得、保有などをしないことを約束した「非核兵器地帯」とすることで、北東アジアを「核の傘」ではなく「非核の傘」で覆うというものである。本協議会は、「北東アジア非核兵器地帯」の創設を働きかけていく。
 広島・長崎への原爆投下、そして第二次世界大戦の終結から76年を迎え、被爆者、戦争体験者のいない時代が刻一刻と近づきつつある中、被爆・戦争体験の継承及び次世代の平和活動の担い手の育成が喫緊の課題といえる。このような状況を踏まえ、本協議会では、被爆と戦争の記憶を共有し、未来へ繋げる取組みとして、会員自治体の戦時中のエピソードをまとめた記念冊子の作成を進めている。また、原爆犠牲者への慰霊と平和への願いを込めて植えられた「嘉代子桜」の苗木を配布する事業を開始するなど、平和の輪を全国に広げる事業を強化していく所存である。
 私たち日本非核宣言自治体協議会は、今後とも、被爆・戦争体験を次世代に伝えるとともに、平和の尊さを発信する取組みに尽力し、住民が安心して暮らしていける地域社会の実現に向けて粘り強く取組んでいくことをここに決議する。

 

                                                                                                                                     2021(令和3)年6月17日
                                                日本非核宣言自治体協議会