第35回(平成30年度)
日本非核宣言自治体協議会 第35回総会決議
昨年から今年にかけて、核兵器をめぐる国際情勢は大きく変わりつつある。
昨年7月、国連総会で「核兵器禁止条約」が 122 か国もの賛成多数で採決された。これは長きにわたり「核兵器の非人道性」を訴えてきたヒロシマ・ナガサキ被爆者の声を原動力とし、市民社会の大きな後押しにより実現されたものである。10月には条約の推進に大きく貢献したとしてNGOの核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞した。現在同条約には58か国が調印し、10か国が批准しているが、核保有国や我が国をはじめとする「核の傘」のもとにある国は反対の立場を示している。日本政府は、「核軍縮の実質的な進展のための賢人会議」を主催するなど、唯一の戦争被爆国として、核保有国と非核保有国の橋渡し的役割を果たすとしており、早急にこの条約の参加に向けての取り組みを強く要望する。私たちは、核兵器禁止条約こそが世界の規範であるべきだと確信している。
現在、北朝鮮の非核化に向けた動きに世界中が注目している。北朝鮮は「核強国」を目指すと明言し、6回の核実験を実施するなどして、北東アジア地域の安定を脅かしてきた。しかし今、北朝鮮が非核化に進む可能性が生まれてきている。私たちは、現在の動きが北朝鮮の完全な非核化につながり、北東アジアに安全と安定をもたらす結果となることを強く期待する。そして、私たちが長年にわたり訴え続けてきた、日本と朝鮮半島を非核化する「北東アジア非核兵器地帯」構想が、そのために貢献できるものであることを改めて主張する。
今年は11月に「第6回核兵器廃絶地球市民集会ナガサキ」が開催され、活発な議論が交わされる。私たちは今後も被爆国の自治体として、このような市民による平和のための活動を支援し、国内外の自治体や市民社会との連携をさらに深めていく。
被爆から73年目を迎え、被爆者・戦争体験者の高齢化が進む中、次世代への継承はすべての自治体に共通する課題である。本協議会は、引き続き、会員都市が連帯し、被爆と戦争の記憶を伝え、平和の尊さを発信できる人材の育成に尽力し、住民が安心して暮らしていける地域社会の実現に向けて努力することを、ここに決議する。
2018(平成30)年5月28日
日本非核宣言自治体協議会