第28回(平成23年度)
第28回 日本非核宣言自治体協議会総会決議
広島と長崎に原爆が投下されて、まもなく66年目の夏が巡ってくる。
住民の生命と暮らしを守るために核兵器廃絶を訴えてきた日本非核宣言自治体にとって、今年は忘れることができない年となった。
3月11日、「東日本大震災」により東北地方の太平洋沿岸部では壊滅的な被害が広がり、死者・行方不明者は2万4千人とも伝えられている。日本非核宣言自治体協議会会員の22自治体も被災し、現在、気仙沼市、亘理町、いわき市など10自治体において1,529名の方が亡くなられ、600名をこえる方々が現在も行方不明のままである。
私たち日本非核宣言自治体は犠牲となられたすべての方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災地域の一刻も早い復興を心から願い、今後ともできるかぎり支援をしていく決意である。
今回の「東日本大震災」によりひき起こされた福島第1原子力発電所の事故により、放射線の脅威に国内外の関心が高まった。広島や長崎では66年前の放射線による後障害は今も続いており、多くの人々が生涯にわたり苦しんでいる。核兵器の攻撃による放射線は凄まじく、「核兵器の使用は決してゆるされない」という認識を深める契機になると考える。人間を放射線で攻撃する核兵器がいかに非人道的な兵器であるか、私たちはこれを機会にこれまで以上に強く訴えていきたい。
そのためには、核不拡散・軍縮に関する次世代への教育が、核兵器廃絶への着実な進展に向けた基礎となる。昨年、ニューヨークで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議では、日本政府やロシアなど42カ国が「核不拡散・軍縮教育に関する共同声明」を発表した。私たちも各国政府やNGOなどと連携して、国内外における原爆展の支援や、国際的な核不拡散・軍縮教育の発展に貢献していきたい。
核抑止力に依存しない安全保障の確立には、日本と韓国と北朝鮮の3カ国を非核地帯にする「北東アジア非核兵器地帯」構想の実現が重要である。今後も、私たちは北朝鮮に核兵器の放棄を求めるとともに構想の実現を求めていく。
「東日本大震災」を乗り越えて、被爆国の自治体である私たちが核兵器廃絶を訴えていくためには、非核自治体のネットワークをさらに広げていく必要がある。日本非核宣言自治体協議会では、全加盟都市が一丸となって加盟促進に取り組み、住民が安心して暮らしていける地域社会実現のために、今後とも途絶えることなく核兵器廃絶の努力を続けていくことをここに決議する。
2011(平成23)年5月24日
日本非核宣言自治体協議会