第2回(昭和62年度)
非核宣言自治体全国大会決議
冷戦後、国際環境が大きく激変している中で、核をめぐる状況は、今年1月の米ロの第2次戦略兵器削減条約(START II)の調印や核実験全面禁止への動きなど、核の恐怖が遠のきつつあるかのように見える。
しかし、1995年に期限を迎える核不拡散条約の延長をめぐって、核保有国にいっそうの軍縮を促し、新たな核保有国の出現を阻むために、どう対応すべきか、大きな課題に直面している。さらに、核兵器解体に伴い増大する核物質の処理技術の遅れや貯蔵の問題、日本海に投棄される放射性廃棄物や事故で沈んだ原子力潜水艦による海洋汚染の問題、非核保有国の核兵器開発の問題など数多くの難しい課題が発生している。
こうした中で、私たちは、昨年、アジアで初めて開かれた第6回国際非核自治体会議の成果をもとに、世界の平和と安定のために、相互信頼、人権尊重、環境保護、経済協力などにも努力を重ねながら、全地球的規模で核軍縮・核廃絶へむけての自治体運動の輪を、これまでにもまして広げていかなければならない。
今、わが国の非核宣言自治体は、1,832を数え、自治体総数の過半に達している。私たちは、21世紀の地球社会のモデルとして評価されている平和憲法の理念を、いっそう強いメッセージとして、世界の人々に伝えていきたい。また、日本の新政権に対しても、非核三原則の法制化、被爆者援護等の拡充、核物質・核廃棄物処理技術の国際協力の推進、チェルノブイリ事故による核汚染の被害をうけた人々への支援を進めることなどを強く要請する。
本日、非核宣言自治体全国大会に集う私たちは、核不拡散のみならず、核保有国の全面核軍縮の道筋を明らかにする取り決めを、被爆50年の1995年までに結ぶよう求める。さらに、核兵器の廃絶と平和な地球の創造を願う全世界の人々と手をたずさえ、今世紀中に核兵器を廃絶し、核のない平和な21世紀を迎えるために、不断の努力を続けていくことを決議する。
1993年(平成5年)8月6日
非核宣言自治体全国大会
非核宣言自治体全国大会決議
世界が激動するこの一年、核をめぐる状況は、朝鮮半島の非核化に関する共同宣言、米・ロ大統領の戦略核弾頭削減合意、地上・海洋配備戦術核の米国領土への撤廃完了声明など、核兵器廃絶と恒久平和を求める私たちにとって、好ましい方向へ動いてきた。
しかしながら、米・ロ両国の戦略核弾頭大幅削減によって、両国が現有する約1万発の核弾頭が西暦2003年までに、約3分の1に削減されたとしても、その時点でなお広島型原爆の約7万ないし10万発分に相当する戦略核弾頭が残されることになる。
さらに、いまも続く核実験、新たな核の拡散、ミニ原爆等新種の核兵器の開発、核廃棄物の管理や環境汚染など、核をめぐる多くの問題が残され、あるいは新たに発生している。
私たちは、世界が対話と協調の時代に踏み出し、核軍縮への展望が開かれつつある今こそ、全地球的規模で核軍縮・核廃絶へ向けての自治体運動の輪を広げ、今世紀中にすべての核兵器の廃絶を目指して努力を継続しなければならない。
今秋11月、非核を願う世界の自治体が、アジアで初めて日本に集い、第6回国際非核自治体会議が開催される。また来年には第3回環太平洋非核自治体会議も日本で開催される。
私たちは、「海の非核化をめざして」「自治体の地球的連携」「環境と非核化」など6つのテーマをめぐって、核兵器の廃絶と恒久平和の実現をめざして開催される、この第6回国際非核自治体会議を成功させるため、最善の努力を払うとともに、より多くの非核宣言自治体の積極的参加を呼びかける。
いま、わが国の非核宣言自治体は1786を数え、自治体総数の過半に達している。私たちはこの自治体住民の意志を尊重し、日本国憲法の平和原則の先見性をあらためて確認するとともに、非核三原則の法制化と被爆者援護法の制定を、国会と政府に強く要請する。
本日、非核宣言自治体全国大会に集う私たちは、核兵器の廃絶と平和な地球の創造を願う全世界の人々と手をたずさえ、平和・環境・人権の視点に立って、すべての自治体とともに、核のない平和な新世紀の扉を開くために、不断の努力を続けていくことを決議する。
1992年(平成4年)8月5日
非核宣言自治体全国大会
非核都市宣言自治体全国大会決議
東西冷戦の終結、東欧諸国の民主化、そして、米ソ両国間の戦略兵器削減条約(START)の調印など、世界は、今、大きく軍縮平和へ向けて舵を切り始めている。
しかしながら、この条約による戦略核兵器削減ののちも、なお、米ソ両国とその他の核保有国が、地球・人類を何回も消滅させるにたる核兵器を持ち続けていることに、私たちは、目を向けなければならない。また、アジア・太平洋の海洋核については、削減への方向すら明らかになっていないし、この地域の冷戦構造の解消は、遅々として進んでいない。横須賀に、空母ミッドウェーに代わり、より強力なインディペンデンスが配備されることは、何よりも、このような軍事状況を端的に示すものである。
私たちは、世界が新たな協調と対話の時代を模索しつつあるこの時に、アジア・太平洋地域の平和と安定をめざし、この地域の非核化のために、今こそ、新たな努力を始めなければならない。
1992年秋には、アジアで初めて、世界の自治体が集う第6回国際非核自治体会議が、その翌年には第3回環太平洋非核自治体会議が、それぞれ、日本で開催される。これらの会議を成功させ、アジア・太平洋および世界の核兵器廃絶と平和を実現させるため、私たちは、すべての国々の自治体に参加を呼びかけるなど、積極的に行動する。
今日、非核宣言自治体は1704を数え、わが国自治体の過半数を超えるに至った。私たちは、これらの市民の意志を尊重し、非核三原則の法制化と被爆者援護法の制定をするよう、あらためて国会と政府に対し強く要請する。
本日、非核都市宣言自治体全国大会に集う私たちは、核兵器の廃絶と平和な地球の創造を願う全世界の人々と手をたずさえ、すべての自治体とともに、不断の努力を続けていくことを確認する。
1991年(平成3年)8月5日
非核都市宣言自治体全国大会
非核都市宣言自治体全国大会決議
被爆45年目を迎えるこの夏、私たち非核都市宣言自治体とその市民は、一瞬にして7万有余の尊い人命を失った被爆地ここ長崎に集い核兵器廃絶と平和への決意を新たにした。
世界は今、米ソ両大国のデタント、東欧諸国の民主化などによって、戦後はじめて軍縮平和の方向へと大きく転換し、核軍縮に向かって、歴史的な歩みを始めようとしている。
だがその一方で、アジア・太平洋の海洋核は野放しにされ、かえって増強されようとしている。
世界が新たな平和を創造しようと動き始めている今こそ、アジア太平洋沿岸自治体とその市民によって海の非核化を実現することが急務である。
私たちは、あらためて、国是としての非核三原則の法制化を日本政府に対し強く要請する。
核軍拡のひきがねとなっている核実験は即時禁止されなければならない。
原子爆弾は、毒ガスや細菌兵器以上に非人道的であり、一瞬にして人間の生命とすべての生活を無残に奪うだけでなく、今なお原爆症で肉体的にも精神的にも耐えがたい苦痛を多くの人々に与えつづける大量無差別の殺りく兵器である。
高齢化し孤独や病気や差別などに苛まれている被爆者のためにも、一刻もはやく被爆者援護法を制定することを日本政府に要請する。そして、同時に今日まで放置されてきた外国人被爆者に謝罪するとともに、その援護をしなければならない。
日本の非核自治体は、今日、1572に達し、全人口の3分の2をこえている。
それぞれの自治体で、平和教育や平和ツアー、平和基金の設置など、多様で内容豊かな試みが市民の参加を得て行われている。この平和への取り組みをさらに広げ、国内はもとより世界の自治体と友好と交流を深め、平和のために連帯していくことが大切である。私たち全国の自治体ならびに市民はアジア・太平洋諸国の自治体や市民と共に環太平洋の海の非核化をめざして連帯を深め、また、この11月にイギリスのグラスゴーで開かれる第5回非核自治体国際会議に積極的に参加し地球的規模での連帯を強めていく。
本日ここに、非核都市宣言自治体全国大会に集う私たちは、思想・信条のちがいをこえて、全世界の人々と連帯し、核兵器を廃絶し平和な世界を創造していくために、一人ひとりが、そしてそれぞれの自治体が、たゆまぬ不断の努力を続けていくことを決議する。
1990年(平成2年)8月8日
非核都市宣言自治体全国大会
非核都市宣言自治体全国大会決議
1980年、イギリスのマンチェスターに始まった非核自治体運動は、核兵器廃絶と軍縮平和を求める市民の強い願いのもとに、全世界に広がっている。一昨年末の米ソINF全廃条約締結の背景には、この運動の高まりがある。
しかしながら、日本をとりまくアジア太平洋の核は、かえって増強されている。トマホーク搭載可能艦船の母港化やソ連の海洋核開発など、海の核は野放しになっている。
去る5月には、水爆を積んだ艦載機が沖縄北東の沖永良部島沖に沈んだままであるという、24年前のタイコンデロガ事件が発表され、私たちは大きな衝撃を受けた。
私たちは、この間、アメリカ合衆国オレゴン州ユージン市で開かれた第4回非核自治体国際会議に参加し、非核平和を求める世界の自治体や市民と貴重な体験交流をした。また、6月1日の国際非核自治体デーには、核軍縮を求める二十二人委員会と共催して「今、海の非核化を考える」シンポジウムを開き、内陸国をも含めて、すべての国に開かれている海が、平和のために利用されることの重要性を訴えた。
日本の非核自治体は、今日、1,395に達し、人口比では3分の2を超えている。全国的なレベルではもちろん、県レベルにおいても、非核自治体運動を強化しなければならない。こうした中で市民の声を生かし、地球の非核平和を築き、非核三原則を遵守するために、その法制化を、日本政府に対し強く要請する。
また、5日から9日まで、広島市と長崎市で核兵器廃絶のために果たすべき都市の役割をテーマに開かれる第2回世界平和連帯都市市長会議の成功を期待する。
被爆44年目を迎えるこの夏、本日ここに、非核都市宣言自治体全国大会に集う私たちは、思想・信条をこえて全世界の人々と連帯し、かけがえのない地球の平和と核兵器廃絶へ向けての明るい展望を開くために、一人ひとりがたゆまぬ努力をすることを決議する。
1989年(平成元年)8月4日
非核都市宣言自治体全国大会
非核都市宣言自治体全国大会決議
被爆43回目の夏、今や世界の恒久平和と安全を願い、核兵器の廃絶と軍縮を求める声が大きなうねりとなって全世界に広がっている。ここ数年、住民の心からの叫びと草の根の運動を反映して、わが国の非核宣言自治体は1,300に迫り、人口比でも全人口の66%を超えようとしている。1980年マンチェスター市に始まったこの非核自治体運動の広がりは全世界的すう勢となり、非核地帯が確実に広がっている。こうしたなかで、昨年12月に米ソ両首脳がINF全廃条約に調印し、核軍縮にむけて歴史的な第一歩を踏み出し、5月には第3回国連軍宿特別総会が開催され、また、戦略核兵器の50%削減も現実味を帯びてきたことは人類にとっての福音である。しかしながら、まだ核兵器は大量に備蓄され、特に、極東における海洋発射核兵器は野放しの状態であり、核保有国の軍拡競争は依然として続いており、誠に憂慮すべき状況にある。このような状況に終止符を打つため、われわれ地方自治体はすべての国々に対し、核兵器の廃絶を積極敵に推進するよう、特に、日本政府に対して、非核三原則の堅持を強く要請する。また、人類の共通かつ究極の目的である核兵器の完全廃絶、全面完全軍縮に向けて、全世界の国々、全世界の人々と手を結び、努力することを表明する。
本日ここに、非核宣言自治体の代表者が集い、思想・信条を越えて全世界の人々とともに連帯することを誓い、核兵器の廃絶と恒久平和の実現のため努力することを決議する。
1987年(昭和62年)8月5日
非核都市宣言自治体全国大会
非核都市宣言自治体全国大会決議
世界の恒久平和と安全を願う気持ちは人類共通のものであり、核兵器の廃絶と核軍縮を求める声は、わが国のみならず、今や全世界に大きな「うねり」となって拡がっている。
しかしながら、核保有国の核軍拡競争はとどまるところを知らず、人類は核戦争の恐怖にさらされ、危機的状況に置かれている。
現在、地球上には、人類の生存を脅かす核兵器が大量に蓄えられており、ひとたび核兵器が使用されれば、全世界をまき込んだ核戦争へと拡大し、尊い生命と美しい大地、かけがえのない文化遺産までも一瞬にして消滅することは明らかであり、まことに憂慮すべき状況にある。
今こそ、このような状況に終止符を打つために我々は手を結び合わなければならない。
そして、人類初の被爆体験という、あのいまわしい悲劇を教訓として、国民の悲願である核兵器の廃絶を訴え、世界の恒久平和実現に寄与することが、我々に課せられた使命であると考える。
我々は、国際平和年を契機として、政府に対し、非核三原則の堅持と、すべての国々に対し、核兵器の廃絶を積極的に推進するよう最大限の努力を強く要請する。
また、今日の憂うべき状況を打開するため、アジア・太平洋地域の国々の住民と協調するとともに、今秋イタリアのペルジアで開催される「第3回非核自治体国際会議」に連帯することを表明する。
本日ここに、非核宣言自治体の代表者が集い、思想、信条をこえて全世界の人びとと共に連帯することを誓い、核兵器の廃絶と恒久平和実現のため努力することを決議する。
1986年(昭和61年)8月5日
非核都市宣言自治体全国大会
非核都市宣言自治体連絡協議会第2回総会決議
核保有国の際限のない核軍拡競争は、地球上の全生物を絶滅させる危機的状況をつくりだし、人類は、いまや核戦争の恐怖の渕にたたされている。
現在、地球上に、人類の生存を脅かす核兵器が大量に蓄えられ、使用される危険性が一層高まっており、ひとたび核兵器が使用されれば、必ずや全地球をおおう核戦争へと拡大し、かけがえのない生命と、美しい山河が一瞬にして消え去ることは明らかである。
このような憂慮すべき事態を打開し、人類共通の願望である世界の恒久平和を実現するために残された道はただ一つ、世界的規模での核兵器廃絶・反戦の運動の輪を広げていくことである。自治体の究極の目標は、平和を創造し、そこに住む人びとの命とくらしを守ることであり、とりわけ世界唯一の被爆体験を有するわが国が果たすべき役割は重大である。
我々は、被爆40周年を機会に、すべての国の指導者に対して、核兵器の廃絶を目指し、実効性のある各軍縮交渉を積極的に推し進めるよう最大限の努力を強く要請する。我が国政府に対しては、人類初の被爆体験を有する国民の悲願を体し、非核三原則を堅持し、憂うべき核軍拡競争の現状打開のため、アジア・太平洋地域の非核化の実現にむけて、先導的役割を果たすことを要望する。
本日、ここに、全国の非核都市宣言自治体の代表者が集い、思想、信条、国境をのり超えて全世界の人びとと共に連帯し行動することを誓い、核兵器の廃絶を期し、恒久平和実現のため、日本において国際連帯会議の実現に努力することを決議する。
1985年(昭和60年)8月3日
非核都市宣言自治体連絡協議会
非核都市宣言自治体連絡協議会結成総会決議
わが国は、世界で最初の核被爆国であり、核兵器の廃絶と恒久平和の実現は、国民共通の願いである。
39年前のあのいまわしい悲劇以来、人類は絶えず核兵器の脅威におびえてきた。ひとたび核兵器が使用されれば、全人類が滅亡することは明らかであり、まことに憂慮すべき事態である。
近年、米ソ両超大国の止まるところを知らぬ核軍拡競争に対し、世界の各地で核兵器廃絶の叫び声が高まり、非核都市宣言のうねりが、世界中の自治体、そして日本中の自治体に急速な拡がりを見せている。
今こそ、われわれは、手と手を結びあい、現在及び将来の国民のため、さらに全人類の未来のためにも、唯一の被爆体験を基本にすえ、人類の悲願である世界の恒久平和の実現に寄与するため、米、ソ両大国、ならびに核保有国に対し、核兵器の廃絶を訴える。それとともに、我が国の政府に非核三原則を厳守させなければならない。
このことは、われわれに課せられた重大な使命である。
本日、ここに、非核都市宣言を行った自治体が集い、「非核都市宣言自治体連絡協議会」を結成し、核兵器が地球上から姿を消す日まで、その廃絶を叫び続け、平和で安全な国民生活の実現にむけて、全国の自治体さらには全世界の自治体に、核兵器廃絶平和宣言を呼びかけ、その輪を広げるための努力を続けることを確認した。
1984年(昭和59年)8月5日
非核都市宣言自治体連絡協議会