第13回(平成10年度)
非核宣言自治体全国大会
今年の夏もまた、あの53年前の生涯忘れることのできない、深く悲しい出来事を私たちは思い出すこととなった。どんなに時間が経過しても、私たちは、核兵器廃絶の真の恒久平和の実現の大切さを、この被爆地広島に集い、あらためて心に刻むこととした。
1996年の9月に包括的核実験禁止条約(CTBT)が、国連総会にて圧倒的多数で採択されたが、対象国の批准が進まず、条約発効がされないままであった。しかし、その時は核兵器廃絶の第一歩と、私たちは自分たちの平和への努力が報われたと喜び合った。
ところが、本年5月には、衝撃的な出来事が待ち受けていた。それは、あのCTBTの批准を否定してきたインドによる、24年ぶりと言われる地下核実験の再開という暴挙であることに他ならない。時代がまさに恒久平和に向けて前進しようとした矢先の大変ショッキングな出来事に私たちは強い憤りを感じざるを得なかった。そして、これに追い打ちをかけるように、パキスタンもインドに対抗した地下核実験を行った。
対抗のための核実験を思い留まるようにとの世界の声を無視して実験を強行したことは、誠に遺憾である。
私たちは、ここに核戦争が、いつ起こるか予想のつかない身近な恐怖であることを、あらためて認識せざるを得ない厳しい現実に直面した。
しかしながら、私たちはこの厳しい現実に決して屈してはならない。
なぜならば、あれほど実現は困難と言われた「対人地雷全面禁止条約」が、1997年9月にオスロで開かれた政府間会合で採択されるに至らしめた要因こそが、国連や各国政府レベルではなく、NGO(非政府組織)といった、むしろ草の根的平和運動の成果であるという事実を知っているからである。
私たちは、この条約成立の経過と同様に、核兵器廃絶による人類にとって真の恒久平和の実現を、国連や各国政府、そして核保有国にまかせるだけではなく、この全国大会のような草の根的平和運動によって、将来必ずや達成させていくための努力を粘り強く続けていくことをここに決議する。
1998年(平成10年)8月5日
非核宣言自治体全国大会